映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』が2025年12月5日より公開されています。
約1万人と言われる日本軍の中で生存したのは34人。
今回は、映画（漫画）で生き残ったキャラ達のその後について追いかけます。
「ペリリュー楽園のゲルニカ」生存者のその後は？
ペリリュー島の激戦後、ストーリーの中で生き残ったキャラ達はその後どうなったのでしょうか？
下記に描かれた範囲での生存者について表にまとめました。
ペリリューの生き残りキャラ一覧
田丸均一等兵 生存し、漫画家に。後年がんにより死去 島田洋平少尉 行方不明→生存。失明の大けがを負いながらペリリュー島で「テオ」として生活し、慰霊塔の管理に従事。 片倉憲伸兵長 生存。電気メーカーに勤めアメリカに出向。 戦後、戦争を漫画にすることを反対、取材拒否 2017年に肺炎で死去 飛田上等兵 生存。その後、日本でヤクザの抗争に巻き込まれ死亡 高木二等兵 生存。天涯孤独のため、帰国しても変える場所がなく、田丸の家族が営む田丸食堂に勤める。 中田一等兵 生存25年後の慰霊会で田丸と会話 竹野内中尉 生存。捕虜となり生き残ったことを恥じ、「遠藤」の偽名で慰霊に参加。 市村上等兵 加納、浜坂、梅崎、勝田とつるんでいた。生存 加納 生存 浜坂 生存 梅崎 生存 安仁屋 沖縄出身、25年後は連絡が取れなかったが、後に田丸夫妻が沖縄で再会。 金城 比嘉 我那覇
次に、とくに印象的だったキャラのその後についてくわしく見ていきます。
まずは吉敷の妹光子と結婚した田丸の戦後から末期ガンで死を迎えるまでを解説します。
田丸
田丸は、戦後功績係として同僚の遺族たちを訪ねて回ります。
そのような中、漫画出版を仕事としている百瀬と出会います。
そして、再び漫画家を目指します。
その後、漫画家として多くの作品を残します。
吉敷の妹と結婚。
2子をもうけます。
ペリリュー島の遺族会の中心メンバーとなり、島を訪問。
慰霊碑の建立や遺骨の捜索の活動を続けました。
2015年に余命半年のがんの診断を受け入院。
孫に戦争を語ります。
そして、吉敷の夢を見ながら亡くなります。
田丸は、戦後に生き残った兵士の葛藤を描くためのキャラクターなのだと思います。
遺族への報告の重圧や遺骨探しでの苦悩など、生き残ったゆえの苦しみが描写されて
いました。
孫との交流から次世代へと戦争の悲惨さを伝えていくことも大きな役割でした。
戦争は遠い昔の話ではなく、自分たちの祖父母世代が味わっていたことであると気づ
かされました。
田丸を通して描かれる戦争の悲惨さを多くの世代の人が読むことが、この作品が描か
れた目的なのだと感じています。
島田洋平少尉
島田は吉敷を撃ったあと、行方不明に。
しかし、島の村長・レモケットさんに保護され生存。
目は見えなくなっていました。
その後、テオとして島で暮らします。
田丸たちが島を訪れたときに再会。
その後は、毎朝慰霊塔を掃除するようになりました。
島田は田丸や吉敷の投降の願いを何度も退けました。
それは、日本の負けが信じられなかったり、投降後にどのような悲惨な目に合うかが
分からなかったりと考えがあったのではないかと思います。
結果的に誤りであったため、島田は苦しむことになります。
幸せに暮らしているようですが、ずっと罪の意識を抱えていました。
島田は、田丸や吉敷に続く3番目の主人公と言っても良いキャラクターではないでしょうか。
特に、仲間を戦いに巻き込んだ側の葛藤は、田丸とは別で戦後の苦しみを背負わされ
ていると感じました。
片倉憲伸兵長
戦後は、電機メーカーに勤め、アメリカにも出向していました。
島の訪問には、参加していません。
片倉は味方を殺すようなこともありましたが、戦後罪に問われるようなことはなかっ
たのでしょうか。
恐らくは状況が状況であるため、罪には問われなかったのでしょう。
その場での最善を考え、自分の意見を殺して動くのが片倉の強さなのではないでしょうか。
戦後にアメリカで商談しているところも、片倉の強さを感じます。
戦時中は敵国でも、戦後に利益をもたらすとあれば、交渉もするのだと思います。
本作で実在するモデルは、自決した大佐のみとされています。
しかし、戦後の片倉にはモデルがいたのではないかと思います。
それは、永井敬司さんという方です。
永井さんはペリリュー島での戦闘の生還者でした。
島での経験をインタビューで語っていますが、戦争を漫画にすることに反対していたようです。
茨城に在住していて、高齢で亡くなったことも共通しています。
このキャラクターを通して、生還者も様々な葛藤を抱えているとが伝わってきました。
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